ともかく我輩は籠から転がり出ると、旅に出た。
我輩には、もっと相応しい場所があると思ったからだ。
転がって、転がって、転がって。
ある時、何物かの足にぶつかり我輩は止まった。
「あれ、しもんきん？」
その者は好奇心に満ちた目で我輩を拾い上げた。
緑色の髪の、いかにも頭の螺子が緩そうな顔をした少女だった。
「しもんきん！　しもんきん、ひーろった！」
少女は我輩を握りつぶしそうな勢いで掴んだまま、突然走り出した。
世界が揺れる。

そしてその揺れる世界の中で、我輩はその町の様相を見た。
夕焼けに照らされたその町並みは、懐かしさと悔しさを織り交ぜた
ような感傷を我輩の胸に呼び起こした。
「ただいまー！　ねえねえ2kちゃーん！　しもんきんひろったよー！」
少女は靴を放り上げて家の中へ飛び込む。
どうやらこれからの我輩の運命はこの少女の手に委ねられたらしい。
まあ、それもまたよかろう。
我輩は揺れる世界の中で見た、この町の名前を記した看板を思い出し、一人ほくそえんだ。
虹裏町。
中々に楽しそうな町ではないか。

しもんきん水に気をつけて
水に気をつけてしもんきん

なんか視点が上だなしもんきん
偉そうだぞ

どこにもいない

ここにいる

最期は溺死だしもんきん

明日は食われる我が身かなしもんきん

しもんきんスクリプト、しもんきんスクリプトじゃないか！

思索するしもんきん
しもんきんとは何だ？

名前はまだないって、名前はしもんきんじゃないのかよ

>無銘
銘探偵吹いた。

>名前はまだないって、名前はしもんきんじゃないのかよ
種族名とか品種名とか、そんなんじゃないの？

最後は紀伊国屋だかの書店に置いていかれそうだな