俺はとしあき、花の小学2年生。
学校の帰りに陛下の爺ちゃんの昔話を聞いてたら、すっかり遅くなってしまった。
川沿いの道を歩いてると、親父ときりこさんに出会った。
親父、今日は逃げなかったらしい。何でいつもそうできないんだ、と文句を言うと、
きりこさんは　「こうして一緒に来てくれるだけでも凄い進歩なんですよ、
としあきさんが生まれる前は毎日逃げられてましたから･･･」　と少し嬉しそうに言った。
･･･家に着くと、きりこさんは親父に　「明日も来るんですよ」　と釘を刺し、帰っていった。
俺は家に入ろうとドアを開け、玄関に足を踏み入れたところで異変に気付く。
玄関が輝いている。廊下の隅、窓枠、どこを見ても埃の一つも落ちてない。
トイレも綺麗に掃除されてるし、洗濯物も畳んである。この完璧な仕事ぶりは母さんだろう･･･。
まさかと思い台所に行くと母さんが夕飯の支度をしていた。
「お帰り･･･夕飯、もうすぐだから」「おお、メドイさんの手料理なんて久々じゃないか」
親父ははしゃいでいるが、事態は深刻である。　「･･･母さん･･･負けたんだね？」「･･････8000･･･」
やめろっていつも言ってるのに･･･給食費･･･払えないな。