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05/04/25(月)01:02:01 No.24337219
鍵を開ける時、あの人はいつも少し手間取って、ただいま、と部屋に入ってくる。 おかえりなさい、今日も疲れたでしょう、お風呂にする?、ご飯にする?、それとも… と言って抱きついて労ってあげたいが、実際私にそんな度胸も愛嬌も無い。 だから、おかえりなさい、と言って精一杯の笑顔を見せる。 微かに香る汗のにおいと、あの人の優しい微笑、それが嬉しい。 彼がお風呂を済ませるまでに夕食を作り上げてしまおう、とびきりの夕食を。
暗い部屋、布団の中で思い出す。 思い切って変えてみた夕食の味付け、あの人はおいしいよ、と誉めてくれた。 飛び上がりたくなる気分、今夜は中々寝付けないかも知れない。 明日の朝も早い、彼を起こしてはいけない、目を閉じて眠りに落ちる様努力する。 羊が400匹を超える頃、彼が起き上がる気配を感じる。 そういえば今日の夕食の時、いつもより水を飲んでいた様な気がする。 味付けが濃すぎたのだろうか、それとも、本当は美味しくなかったのだろうか…。
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