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05/06/01(水)00:00:21 No.25489651
様々な商品に目移りしないでもなかったが、まだ自制心の方が強かった。 昔はこんな事は思いもしなかっただろう、着飾るという事も知らなかったあの頃。 一番初めに服を買って貰った後の事だったか、あの人が私を褒めてくれたのが切欠だったと記憶している。 眼鏡は外さない方が良いね、その方が素敵ですから、とかなんとか。 付属品なのだからデザイン的に似合っているのは当然なのだが、 当時の私ときたらそんなお世辞にも舞い上がってしまっていた。 一度眼鏡を無くした時などは大変だった。 こみあげるものを堪えきれずに恥ずかしげも無くぼろぼろ泣いてしまったし、 その後すぐにひょっこり眼鏡が見つかった時なんか顔を真っ赤にしてしまった。
それから、見なりや自分の持ち物にも気を遣う様になった。 あの人が些細な変化に気付いてくれる事が嬉しかったし、彼を楽しませているというやり甲斐めいたものもあった。 そういえば、最近は面と向かって褒めてくれないな、と思う。 多分、気付いてはいるのだろうが、顔に出るだけで言葉にしてくれない、とでも言おうか。 それを表情だけで察せる様になったのは良い事なのか、それとも。
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