どうだ？
「若干動作にタイムラグが生じますが、それを見越した作業を行えば対応できそうです」
そうか。今日も雨だ、この時期は機械も人間も調子が悪くなりやすい。
「としあき様も、あまり無理をなさらずに」
仕方ないさ、階段の上り下りが辛かったり、指先が上手く動かせないのは年寄りには自然なことだ。
この年にもなると衰えは諦めも付くが、だからと言って何もしないのも俺は嫌なんだよ。
…それに、お前に料理や掃除をしてもらわないと、俺もまいってしまう。
「申し訳ありません」
なあに、今のは方便だ。いい加減出来合いの飯にうんざりしてるのは確かだがな。
俺一人では、昔から何も出来なかった。しぶとく生き続けているだけの俺に
尽くしてくれるお前に、ずっと感謝している。
「私も、これだけ長く使い続けてくれたことを感謝していますよ」
お前を手放す理由なんて無いからな。それだけだ。墓に入るまで付き合えと言っただろう。
「何度でも言いますよ。最後までお付き合いします、と」
お前も年寄りみたいな物言いをするようになったな。